久しぶりにシンガポールに帰れることになり、数週間前からなんとなくそわそわ。
仕事で頻繁に飛行機で移動していた頃は、手荷物はなるべく預けず機内持ち込みに収まるよう最小限で旅するのに拘っていたが、今回は紙類が多く全体量も大きなスーツケース2個と小さなスーツケース1個になり、初めて、羽田空港第3ターミナルまで手荷物を宅配した。宅配受付は出発の2日前までなので、いつもより早めにパッキング。絶対に持っていきたいもので、前日に使用しないものを先に送り出す。10月30日。午前中指定でお願いしていたら、9時過ぎに取りに来てくれた。
初めてのことはいつでも少しドキドキ。ちゃんと届くかな。空港について荷物が来ていなかったらどうしよう。そんな心配は無用だとはわかっているのだが。特に日本のサービスは信頼できる。
10月31日土曜日。出発前日。昨日までに大きな荷物は送ってしまったので、気持ちも少し軽くなる。後は最後に残った小さなスーツケースに思いつくもの、忘れていたものを少しずつ詰めていく。最後まで使い到着先でも最初に使う身の回りのものは最後に。
シンガポール到着後2週間ホテルに缶詰になるので忘れ物がないか少し心配。
心配はしだすときりがないけれど、大丈夫と自分に言い聞かせる。
エコノミークラスで預けられる手荷物は23kgを2個。前の仕事のおかげで得られたステータスで、無料で1個追加できる。合計3個。手荷物をこんなに持って旅するのは初めてかもしれない。
初めて国際線に乗ったのは19歳の夏。アメリカ西海岸のサンディエゴへの留学だった。初めての海外。同じ学校に留学する静岡出身の長身の美人と一緒の便に乗ることになった。確かマレーシア航空の飛行機。ビギナーズラックだったのか今でも謎なのだが、なぜか二人ともアップグレードされた。ファーストクラスだったのかビジネスクラスだったのか今でも定かではない。が、案内されたのは階段を登った上の席だったのを覚えている。かなり大きな機体だったのだろう。ゆったりとした席。窓からの眺めも良好。体にフィットした民族衣装のデザインのユニフォームを纏った客室乗務員のスタイルの良さに惚れ惚れ。機内食は簡易なものでなく、落とせば割れたり大きな音のする質感の良い器やカトラリーで。食事の味は器との相乗効果も大きい。確か調子に乗ってお酒も飲んだ気がする。何もかもが新鮮で機内を楽しんでいるうちに太平洋の向こう側へ。初めてのアメリカの玄関口はロサンジェルス空港。とにかく大きい。入国と乗り継ぎにたくさん、たくさん歩いた記憶がある。どこまでも続く通路の両側にショッピングセンターのようにいろいろな店が並んでいる。
サンディエゴまでの飛行機は確かプロペラ機。機内は狭い通路を挟んで椅子が両側に一列ずつ。10人乗りくらいの確かプロペラ機。高度も低く、眼下の景色がよく見える。あっという間にサンディエゴのダウンタウンが見えてきたと思ったらかなりスリリングな着陸。建物や高架の高速道路すれすれに急降下して着陸する。
話をもとに戻そう。
今日はアップグレードポイントを使ってアップグレードを申請している。格安運賃で予約したので、アップグレードポイントは通常の2倍の16ポイント。それでも今から翌3月までに何度飛行機に乗れるかわからない現状では、使えるうちに使おうという気になる。
アップグレードできるかどうかは、当日にならないとわからない。
掃除機をかける。
トイレ掃除。
冷蔵庫の残り物の整理。残っていた豆乳を飲み干す。
最後のゴミ出し。
時間が少し余った。今日はジョギングというより、散歩の気分。夕方、海岸まで散歩することにした。秋らしい晴天。日没はだいぶ早くなってきた。
サイクリングロードをまずは左の方、江ノ島方面に向けて少し歩く。それから引き返して、今度は夕日に向かって歩く。ジョガーも多い。ジョギングするには最高の季節だ。あっという間に夕日は伊豆半島の山の向こうに沈んでいく。夕暮れに空のいろが少しずつ変わっていくのが好きだ。特に日が沈んだ後にグラデーションに染まっていく時間。
伊豆箱根の山々のすぐ上は濃い茜色。そこから水彩画のように空色へと徐々に変わる。こんな夕焼けを愛でられるのは幸せ。富士山も綺麗に見えるようになった。
湘南に暮らせる幸せを実感する。
コロナ感染を広げないための外出自粛期間も、茅ヶ崎に住まえることは感謝だった。住宅街は普段と変わらない落ち着きがあり、遠くからの釣り人やサーファーが心なしか減ったせいか、海岸はいつもよりも静か。と思いきや、自粛期間のサイクリングロードは、散歩する人や走る人で普段よりも人通りが多い気がする。コロナ感染予防のため、砂浜には立ち入らないでください、という立て看板が目に入る。が、実は砂浜の方がソーシャル・ディスタンスが保てそうだ。
海の家も今年は中止となったので、確かに海岸は静かだった。その分、波音、トンビの声、本来の海が味わえる。
夏の間はなるべく涼しい早朝に走った。6時台よりも5時台の方がジョガーの数が多い。皆、日の出前から走り出して願わくは太陽の力が全開になる前に走り終えようと早起きする。6時半のラジオ体操が始まることには家路につきたい。
そのうち日の出がだんだん遅くなり、この頃は5時半過ぎにやっと日が昇る。
さて、日が沈んでからしばらく経って、だいぶ薄暗くなってきた。空気もだんだんひえてくる。寒くならないうちに家に帰ろう。
残り物で早めに最後の夕食を取り、ゆっくり入浴。最後の洗濯をして浴室に干してから、ベッドに入る。この頃はポッドキャストを聞きながら眠りにつく。
自然と朝早く目覚めるのが常だが、今夜は念のためアラームをセットしてから寝よう。5時、5時15分、5時30分、6時と何度かに分けてセットする。最後の6時はギリギリの滑り止め。